Review — 会議AI
Zoom AI Companion
月額追加料金なしで使えるAI会議アシスタントは、Teamsの牙城を崩せるか
総合
7/10
使いやすさ
8/10
性能
6.5/10
コスパ
9/10
プライバシー
7/10
おすすめ度
B
Summary
Zoom AI Companionは有料プランに追加料金なしで含まれる会議AI機能として、コスパでは競合を圧倒する。会議要約の精度は日本語で70〜75%程度と発展途上だが、英語では85%近い実用水準に達している。Teams Copilotの月30ドル追加と比べると「無料」の破壊力は大きいが、日本語環境での利用には割り切りが必要だ。
追加料金ゼロのAI会議アシスタント、その実力は価格相応か
Zoom AI Companionを語る上で最初に押さえるべきは、その価格設定だ。Zoomの有料プラン(Pro月13.33ドル〜)を契約していれば、追加料金なしで利用できる。Microsoft TeamsのCopilotが月30ドル/ユーザーの追加課金を求めるのと比べると、この「無料」は破壊的だ。 AI Companionの主要機能は5つ。会議の要約生成、リアルタイム文字起こし、チャットメッセージの要約、メールの下書き生成、ホワイトボードのコンテンツ生成。この中で最も実用的なのは会議要約と文字起こしで、残りは「あれば便利」程度だ。 セットアップは拍子抜けするほど簡単だった。Zoomの設定画面で「AI Companion」をオンにするだけ。会議開始時にAI Companionの起動ボタンを押せば、文字起こしと要約生成が自動的に始まる。参加者には「AI Companionが有効です」という通知が表示されるため、知らないうちに録音されるという懸念はない。 3ヶ月間、週10回程度の会議でAI Companionを使用した。英語の会議と日本語の会議の両方で検証した結果、言語による精度差が顕著だった。

“ZoomのAI要約が無料で使えるのを知って衝撃。Teams Copilotに月30ドル払うか悩んでたけど、精度はZoomの方がまだ劣るとはいえ無料は強すぎる”
— X @remote_worker_jp
英語は実用レベル、日本語は発展途上:言語による精度差
AI Companionの会議要約精度を検証した。英語会議(4人、45分、テック系の議題)では、主要な議論ポイントの85%を正確に捉え、アクションアイテムの抽出も8割方正確だった。話者の識別も安定しており、「Johnが提案した新機能のスケジュール」のような紐づけも概ね正しい。 問題は日本語だ。同条件の日本語会議では、要約精度が70〜75%程度に落ちる。具体的には以下の課題がある。第一に、同音異義語の誤変換。「資料」と「試料」、「移行」と「以降」といった変換ミスが散見される。第二に、敬語表現の処理。「ご検討いただけますでしょうか」のような日本のビジネス敬語を、要約から適切に剝ぎ取れないことがある。第三に、話者識別の精度低下。日本語では語尾や相槌が多く、発話の区切りがAIにとって判別しにくいようだ。 特に困るのは固有名詞の誤認識だ。社名や製品名、人名が正しく文字起こしされないケースが多い。これは会議要約の信頼性を大きく損なう。手動で辞書登録する機能はあるが、設定が面倒でほとんどのユーザーが活用していない。 とはいえ、3ヶ月の間にも日本語の精度は少しずつ改善されている印象がある。Zoomは多言語対応のアップデートを継続的に行っており、半年後にはまた違う評価になる可能性がある。
WARNING
日本語会議でAI Companionの要約をそのまま公式議事録として使うのは危険。必ず人間によるレビューと修正を前提とすること。英語会議であれば実用水準に達している。
Fireflies.aiやtl;dvとの比較:専業ツールに勝てる点と勝てない点
Zoom AI Companionの競合は、Teams CopilotだけではなくFireflies.ai、tl;dv、Otter.aiといった会議特化型AIサービスだ。これらの専業ツールと比較した場合のZoomの立ち位置は明確だ。 精度面では、Fireflies.aiの方が日本語の文字起こし精度は高い。Fireflies.aiは会議専業として言語モデルを最適化しており、日本語の固有名詞辞書やカスタム語彙の登録機能も充実している。tl;dvも同様に、要約のカスタマイズ性(議題別、発言者別、アクションアイテム別の要約フォーマット選択)ではZoomを上回る。 だがZoomの圧倒的な強みは「Zoomの中で完結する」ことだ。外部ツールを使う場合、Zoom会議にサードパーティのボットを参加させる必要がある。このボットの存在は参加者に違和感を与えることがあるし、企業のセキュリティポリシーで外部ボットの参加を禁止しているケースも多い。Zoomのネイティブ機能であるAI Companionなら、そうした障壁がない。 加えてコスト面。Fireflies.aiのBusinessプランは月29ドル/ユーザー、tl;dvのProプランは月20ドル/ユーザー。Zoom AI Companionは追加料金ゼロ。精度の差が許容範囲であれば、コスト面でZoomを選ぶ合理性は十分にある。
会議AI要約サービス比較(2026年3月時点)
| 項目 | Zoom AI Companion | Teams Copilot | Fireflies.ai | tl;dv |
|---|---|---|---|---|
| 月額 | 追加料金なし | 30USD/ユーザー | 29USD/ユーザー(Business) | 20USD/ユーザー(Pro) |
| 前提条件 | Zoom有料プラン | M365 E3/E5必須 | 単独利用可 | 単独利用可 |
| 日本語精度 | 70-75% | 80% | 80-85% | 75-80% |
| 英語精度 | 85% | 85% | 90% | 85% |
| 話者識別 | ○ | ◎ | ◎ | ○ |
| CRM連携 | △ | ○(Dynamics) | ◎(Salesforce/HubSpot) | ◎(HubSpot/Salesforce) |
| カスタム辞書 | △(基本機能のみ) | ○ | ◎ | ○ |
| 対応会議ツール | Zoomのみ | Teamsのみ | Zoom/Teams/Meet等 | Zoom/Teams/Meet等 |
会議要約の先にある「AI Companion 2.0」の野心
Zoomは会議要約だけでなく、AI Companionの機能を急速に拡大している。2025年後半に発表された「AI Companion 2.0」では、会議の文脈を踏まえたタスクの自動生成、次回会議のアジェンダ提案、関連ドキュメントの自動検索など、会議前後のワークフロー全体をカバーする方向性が示された。 Zoom Docs(ドキュメント機能)やZoom Clips(非同期ビデオメッセージ)とAI Companionの統合も進んでおり、単なるビデオ会議ツールからワークスペースプラットフォームへの転換を図っている。Microsoftの365+Copilotの世界観を、Zoomの生態系でも実現しようとしている。 だが現時点では、これらの拡張機能はまだ発展途上だ。Zoom Docsの利用率は低く、AI Companionのドキュメント関連機能を積極的に使っているユーザーは少ない。会議要約という「1点突破」の価値で判断するのが現実的だ。 Zoomの優位性は、世界中の会議データから学習したAIモデルにある。1日3億分以上の会議が行われるZoomプラットフォーム上のデータは、会議AIの精度向上において他社には真似できないアドバンテージだ。この資産を活かして日本語精度がどこまで改善されるかが、日本市場でのAI Companionの命運を分ける。
“Zoom AI Companionの英語要約は普通に使えるレベル。グローバルチームの英語ミーティングではめちゃくちゃ助かってる。日本語はまだ辛いけど”
— X @startup_cto_jp
導入判断のための3つの問い
Zoom AI Companionを導入すべきかどうかは、3つの問いで判断できる。 第一に、既にZoomの有料プランを使っているか。イエスなら、AI Companionを有効にしない理由がない。追加コストゼロで会議要約が手に入る。 第二に、会議は主に英語か日本語か。英語中心のグローバルチームなら文句なしに推奨。日本語中心であれば、要約の手動修正を前提とした運用設計が必要だ。 第三に、会議要約に求める精度レベルはどの程度か。「大まかな議論の流れとアクションアイテムが分かればOK」なら十分。「一言一句正確な議事録が必要」なら、Fireflies.aiのような専業ツールか、人間の議事録担当の方が適している。 Zoom AI Companionは「無料だからとりあえず使う」が最も合理的な導入戦略だ。使ってみて精度に不満があれば、その時点でFireflies.aiやtl;dvの導入を検討しても遅くない。逆に「精度は80点だけど無料だし」と割り切れるなら、これ以上コスパの良い会議AIは現時点で存在しない。
TIP
Zoom AI Companionの要約精度を高めるコツ:1. 会議冒頭でアジェンダを読み上げる 2. 発言者は名乗ってから話す 3. 外部マイクを使い音質を上げる 4. 背景ノイズを最小化する。この4点で精度が10%程度改善する。
Good
- +Zoom有料プランに追加料金なしで付属し、会議AI導入のコスト障壁がゼロ
- +セットアップが極めて簡単で、設定ONにするだけで即利用開始可能
- +英語の会議要約は85%の精度で実用水準に達している
- +Zoomネイティブ機能のため、外部ボットの参加が不要でセキュリティ面も安心
- +継続的なアップデートで精度が改善傾向にあり、将来性が期待できる
Bad
- −日本語の会議要約精度は70〜75%程度で、手動修正が前提となる
- −固有名詞(社名・人名・製品名)の誤認識が日本語で頻発する
- −Zoom会議以外(Teams、Google Meet等)には対応していない
- −CRM連携やカスタム辞書など、専業ツールにある高度な機能が不足
- −無料プランでは利用できず、最低でもProプラン(月13.33ドル)が必要
- −Zoom Docs等の周辺機能との統合はまだ発展途上
結論
Zoom AI Companionは「追加料金ゼロ」という価格設定だけで、検討に値するツールだ。Zoom有料プランを既に使っているなら、今すぐ設定をONにしてテストすべきだ。英語会議では十分に実用的な品質だし、日本語会議でも「完璧ではないが会議の流れを把握するには十分」な要約を生成する。 最大の課題は日本語精度だが、これは時間が解決する可能性が高い。Zoomの膨大な会議データを活かしたモデル改善は着実に進んでおり、半年後のレビューでは評価が変わるかもしれない。現時点では「無料なので使いながら改善を待つ」が最も合理的な戦略だ。会議AIに月額予算を割けるチームで、精度を最優先するならFireflies.aiを推奨する。だが「まず試してみたい」なら、Zoom AI Companionから始めるのが正解だ。
こんな人におすすめ
- →Zoomを主要な会議ツールとして既に利用している企業・チーム
- →英語での会議が多いグローバルチームやスタートアップ
- →会議AI導入のコストを最小限に抑えたい組織
- →議事録の大まかな要約で十分な社内ミーティングが中心の場合
- →まず会議AIを「試してみたい」が高額な投資は避けたい場合
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