中国、Metaの20億ドルAIスタートアップ買収を阻止
中国がManusの対外投資禁止を決定、AI技術の米国流出を警戒。創設者2名の出国も禁止し、国際的な波紋が広がる

中国がMeta買収を阻止
中国の国家発展改革委員会(NDRC)は27日、MetaによるAIスタートアップManus社の20億ドル買収を阻止すると発表した。同委員会は「法律法規に基づいてManusプロジェクトへの外国投資を禁止し、関係当事者に買収取引の撤回を求める」と表明。詳細な説明は示されていない。 Manusは2022年に中国のエンジニアらによって設立され、2025年半ばにシンガポールに本社を移転したが、Metaが昨年12月に約20億~30億ドルで買収を発表していた。同社は昨年3月に「世界初の汎用AIエージェント」を発表して業界で注目を集めていた。
創設者の出国禁止措置
ManusのCEO肖紅(Xiao Hong)氏と最高技術責任者吉一超(Ji Yichao)氏の2名が、3月に規制当局との協議のため北京に召集され、その後出国を禁止されたと報じられている。Manusの従業員約100人は既に3月にMetaのシンガポールオフィスに移転済みで、MetaはManusを内部システムに統合し、同社幹部をAIチームに迎え入れていた。 この買収は1月から中国商務部による調査を受けており、米中技術戦争が激化する中での技術流出への懸念を反映している。
POINT
中国による外国投資禁止は、完了済みの大型M&A案件に対する異例の措置。AI技術の戦略的重要性と、米国への技術流出阻止の強い意志を示している。
米中AI競争への影響
この措置は中国による最も重要な国境を越えた取引への介入の一つとされ、5月に予定されているトランプ大統領と習近平主席の首脳会談の数週間前に発表された。技術研究企業Omdiaのリアン・ジー・ス氏は「中国は、国家安全保障上の核心的資産と見なすAI人材と能力について強硬姿勢を示しており、中国の深層技術企業の買収に関して当局が今後取る可能性のある行動を強く示唆している」と分析している。 Metaにとってこの決定は、急速に発展するAIエージェント分野での野望に深刻な打撃となる可能性がある。中国の決定はMetaの大規模なAI計画を妨げ、同社はビッグテック競合他社に追いつくために数十億ドルを投資し、高額な幹部を雇用してきた。
AITAKE編集部の見方
今回の中国による介入は、AI技術をめぐる米中競争が新たな段階に入ったことを示している。完了済みの大型買収案件を強制的に撤回させるという前例のない措置は、中国がAI技術を国家安全保障の核心要素と位置づけていることの表れだ。 特に注目すべきは、Manusがシンガポールに移転していたにも関わらず、創設者の中国籍や技術的起源を理由に管轄権を主張した点である。これは「シンガポール・ウォッシング」と呼ばれる手法への強いメッセージとなり、今後の中国系AI企業の国際展開戦略に大きな影響を与えるだろう。日本のAI業界においても、中国系技術への依存度を見直す契機となる可能性がある。
Source: The Washington Post