Cloudflare、AI効率化で1100人解雇 過去最高売上げでも2割削減
記録的な売上高を達成したにも関わらず、CloudflareがAI活用による効率化を理由に全体の20%の従業員を解雇。PayPalやCoinbaseなども同様にAI導入で数千人規模の人員削減を発表し、テック業界に新たな転換点が訪れている。

記録的売上でもAI効率化を理由に2割削減
Cloudflareは5月8日、16年の歴史で初めてとなる大規模な人員削減を発表し、世界で約1,100人(全社員の約20%)を解雇すると明らかにした。同社は同日、四半期売上高が6億3,980万ドル(前年同期比34%増)と過去最高を記録したことも報告している。 同社CEOのマシュー・プリンス氏とミシェル・ザトリン社長は、「今日の行動はコスト削減や個人の業績評価ではない。これは、Cloudflareが『エージェンティック AI 時代』において世界クラスの高成長企業がどう運営し価値を創造するかを定義することにある」と説明した。 同社の内部AI利用は過去3か月で600%以上増加し、エンジニアリングからHR、財務、マーケティングに至るまで、従業員が日々数千のAIエージェントセッションを実行している状況だという。
PayPalやCoinbaseも相次ぎAI関連削減
同じ週にPayPalのエンリケ・ローレス新CEOが2〜3年かけて約20%(4,500人以上)の人員削減を計画し、AI変革グループの設立を発表。また、Coinbaseも14%(約700人)の従業員削減を決定した。 Coinbase CEOのブライアン・アームストロング氏は、「単に人員削減とコスト削減を行うのではなく、運営方法を根本的に変えている。Coinbaseを知的システムとして再構築し、人間をその周辺に配置する」と述べ、AIを活用した「1人チーム」でエンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャーの責任を包括する「AI-nativeポッド」を創設すると発表した。 この1週間だけでも、CloudflareやPayPal、Coinbaseを含む複数の主要テック企業が数千人規模の削減を発表し、経営陣はAIがその理由だと明言している。
POINT
プリンス氏が描いたパターン——収益が好調な時期でもAI効率化を人員削減の正当化理由として使う——は、テック業界全体で馴染みのある脚本になりつつある。これが真の構造的変革なのか、コスト管理の都合の良い隠れ蓑なのかは、投資家と従業員が長期間向き合わなければならない問題である。
株価下落も市場は困惑
市場の反応はAI主導のリストラに対するウォール街の困惑を浮き彫りにした。収益予想を上回ったにも関わらず、Cloudflareの株価は時間外取引で14%以上下落した。 Layoffs.fyiによると、2026年にこれまでに98,689人のテック従業員が職を失っており、この数字は同サイトが報告した2025年の総テック系解雇者数124,201人を大幅に上回るペースとなっている。 興味深いことに、プリンス氏は「今後も人材を採用し続け、投資も続ける。これらのツールを活用している人々は、これまで見たことがないほど生産性が高い。2027年には2026年のどの時点よりも多くの従業員を抱えることになるだろう」と予測している。
AITAKE編集部の見方
今回の一連の動きは、AI技術の急速な進歩がテック業界の雇用構造に与える根本的な変化を象徴している。特に注目すべきは、業績好調時にもかかわらず大規模解雇に踏み切る企業の論理だ。 CloudflareやCoinbaseが示す「AI-native」への転換は、単なる効率化を超えて、従来の役割分担やチーム構成を根本から見直すパラダイムシフトを意味する。一方で、AIを理由とした人員削減が新たな「企業再編の免罪符」となっている懸念もある。 日本企業にとっても、このトレンドは対岸の火事ではない。AI導入による生産性向上と雇用への影響のバランスを慎重に検討し、持続可能な成長戦略を構築することが急務となっている。
Source: TechCrunch