Cloudflare、AI効率化を理由に1100人解雇 過去最高売上でも
過去最高の四半期売上6億3,980万ドルを記録したCloudflareが、AIによる業務効率化を理由に全従業員の20%にあたる1100人の大規模解雇を実施。同社史上初のリストラ断行

好調な業績にも関わらず史上最大のリストラ
Cloudflareは2026年第1四半期の決算発表と同時に、全世界で1100人(全従業員の約20%)の解雇を発表した。同社の四半期売上は6億3,980万ドルに達し、前年同期比34%増の過去最高を記録していた。同社の共同創設者兼CEOのMatthew Prince氏は「Cloudflareの16年の歴史でこのようなことは初めてです」と述べ、創業以来初となる大規模解雇の実施を明らかにした。 同社は営業ノルマを持つ営業部門を除く全ての部門・地域から従業員を削減するとしており、1億4,000万〜1億5,000万ドルのリストラ費用を計上する一方、好調な第1四半期の結果発表後も株価は時間外取引で19%下落した。
AI活用の急激な拡大が解雇の理由
Prince氏によると、Cloudflareの社内でのAI利用は過去3か月間で600%以上増加している。「エンジニアリングからHR、財務、マーケティングに至るまで、全社の従業員が毎日何千ものAIエージェントセッションを実行して業務を遂行している」と説明した。 Prince氏は昨年11月を転換点として挙げ、「チーム全体で大規模な生産性向上を確認し、従業員が以前の2倍、10倍、さらには100倍も生産的になった。手動ドライバーから電動ドライバーに変わったようなものです」と表現した。このような高生産性のAI活用従業員には、従来必要だったサポート人材が不要になったため、「多くのサポート業務を提供する人々の役職は、今後企業を推進していく役職ではない」と述べている。
POINT
「今日の行動はコスト削減の取り組みや個人のパフォーマンスの評価ではありません。Cloudflareが世界クラスの高成長企業として、エージェント型AI時代にどのように運営し価値を創造するかを定義することです」 - Prince氏とZatlyn氏の共同声明
業界全体のAI主導の構造変革
CloudflareはMeta、Microsoft、Amazonに続き、AI活用による売上増加と大規模解雇の両方を発表したテック企業の仲間入りを果たした。Amazon、Microsoft、Alphabet、Metaは2026年にAIインフラに7,250億ドル(前年比77%増)を投資する計画を発表している一方、これらの企業は数万人規模の従業員削減も実施している。この傾向は明確で、テック企業は人的労働力からAIインフラへの資本再配分を進めている。 Cloudflareは解雇された従業員に対し、2026年末まで基本給の全額支給、米国内従業員には年末まで医療保険継続、8月15日まで株式権利確定の加速など「業界最高水準」の退職金パッケージを提供している。
AITAKE編集部の見方
Cloudflareの今回の決断は、テック業界におけるAI革命の新たな局面を示している。従来のレイオフが業績不振やコスト削減を理由とするのに対し、同社は「AI効率化による役職の陳腐化」を明確に理由として挙げている点が注目される。 特に重要なのは、Prince氏が「2027年には2026年のどの時点よりも多くの従業員を雇用するだろう」と述べている点だ。これは単純な人員削減ではなく、AI時代に適応した新しい職種への労働力転換を意味している。日本企業においても、AIツールの導入が進む中で、どのような職種が残り、どのような新しい役割が生まれるのかを真剣に検討する時期に来ている。 ただし、株価の急落が示すように、市場はこうしたAI主導の構造改革をまだ完全には理解していない。企業がAI投資の成果を実際の業績改善に結び付けられるかが、今後の試金石となるだろう。
Source: TechCrunch