Anthropic「Claude Mythos」企業限定で一般公開せず
最強AIモデル「Claude Mythos」はサイバーセキュリティリスクのため約50社のパートナー企業のみに提供。プロジェクト・グラスウィングで脆弱性スキャンに特化

最強モデルが企業ファイアウォールの内側に
Anthropicは4月7日、同社史上最も強力なAIモデル「Claude Mythos Preview」を発表したが、サイバーセキュリティリスクを理由に一般公開しない方針を明らかにした。Mythosは「Capybara」という内部コードネームで呼ばれ、既存のOpusティアを超える新たな第4の階層として位置づけられている。 代わりにAmazon Web Services、Apple、Microsoft、Google、NVIDIA、Cisco、CrowdStrike、JPMorganなどを含む約50の選別されたパートナー企業に対してのみアクセスを提供し、防御的セキュリティ目的での利用に限定している。この取り組みは「プロジェクト・グラスウィング」と名付けられ、最大1億ドルの利用クレジットが提供される。
数千のゼロデイ脆弱性を発見する能力
Anthropicによると、Mythos Previewは過去数週間でメジャーOS及びWebブラウザにおいて数千のゼロデイ脆弱性を発見した。具体的にはOpenBSDの27年前からの欠陥、FFmpegの16年間検出されなかった脆弱性、そして複数のLinuxカーネル脆弱性を組み合わせた完全なマシン制御の獲得などが含まれる。 興味深いことに、Mythosには特別なサイバーセキュリティトレーニングは行われておらず、ソフトウェアの弱点を探る能力は、コーディングと推論における一般的な進歩の副産物だという。プロジェクト・グラスウィングの参加企業は、入力トークン100万あたり25ドル、出力トークン100万あたり125ドルという価格設定でモデルにアクセスできる。
POINT
Anthropicは史上最強のAIモデルを開発したにも関わらず、そのサイバーセキュリティ能力が高すぎるため、一般公開を見送り、選別された企業のみに防御目的での利用を許可している。
偶然のリークから公式発表へ
実はMythosの存在は3月26日に偶然発覚していた。Anthropicのコンテンツ管理システムの設定ミスにより、約3,000の未公開内部資料がインターネット上で公開状態となり、その中にMythosを「これまで開発した中で最も強力なAIモデル」と記述した下書きブログ投稿が含まれていた。 Anthropicはリークの内容を否定せず、Mythosを「段階的な変化であり、これまでに構築した中で最も有能」なモデルであると認めた。リークから11日後の4月7日、同社は正式にMythos PreviewとProject Glasswingを発表し、244ページに及ぶ安全性文書を自主的に全文公開した。
AITAKE編集部の見方
今回のAnthropic の判断は、AI業界における責任ある開発の新たな基準を示している。最も強力なモデルを構築しながらも、そのリスクを慎重に評価し、段階的な展開を選択した姿勢は評価に値する。 一方で、選ばれた大企業のみがアクセスできる状況は、AI技術の民主化という観点からは課題も残す。中小企業や研究機関がこの革新的な技術から取り残される可能性がある。今後、適切な安全対策と幅広いアクセスのバランスをどう取るかが、AI業界全体の課題となるだろう。Project Glasswingが成功すれば、他のAI企業も同様の慎重なアプローチを採用する可能性が高い。
Source: What LLM