Anthropic、史上最強AIモデル「Claude Mythos」を限定公開
10兆パラメータのClaud Mythosはサイバーセキュリティリスクを理由に一般公開を見送り、Project Glasswingとして50社限定で提供開始

史上最強のAIモデル、一般公開を見送り
AnthropicがClaude Mythos(コードネーム:Capybara)と呼ばれる新しいAIモデルを発表しました。同社は「これまでに構築した最も高性能なモデル」と説明しており、「ステップチェンジ」を意味する性能向上を実現しています。しかし、このモデルが「前例のないサイバーセキュリティリスク」を抱えているとして、一般公開を見送ることが決定されました。 代わりに、AnthropicはProject Glasswingというイニシアチブを立ち上げ、Amazon Web Services、Apple、Microsoft、Cisco、CrowdStrike、Palo Alto Networks、NVIDIAなどの主要パートナー12社と、追加で40社を超える組織に限定してアクセスを提供しています。同社は1億ドルの利用クレジットと400万ドルの直接寄付を通じてこの取り組みを支援しています。
脆弱性発見能力が人間を圧倒
Claude Mythosは、AIモデルがソフトウェア脆弱性を発見し悪用する能力において人間を上回ったことの証明とされています。同モデルはすでに主要なOSとウェブブラウザで数千の脆弱性を発見しており、27年前のインターネット関連ソフトウェアのバグや、自動テストツールが数百万回スキャンしても発見できなかった16年前のビデオゲームコードの脆弱性を特定しています。 Anthropicの攻撃的サイバー研究を率いるLogan Graham氏は、「Mythos Previewモデルは未知のソフトウェア脆弱性を特定するだけでなく、それらを武器化する能力も持っています。複数の未公開脆弱性を特定し、それらをハッキングするためのコードを書き、それらを連鎖させて複雑なソフトウェアに侵入する方法を形成できます」と説明しています。
POINT
Anthropicは「このモデルは守備者の努力をはるかに上回る方法で脆弱性を悪用できる次世代モデルの波を予兆している」と警告しており、防御側が攻撃者よりも先に対策を講じられるよう、限定的なアクセス体制を構築しています。
株式市場への影響と業界の反応
Claude Mythosに関する報道を受けて、サイバーセキュリティ関連株が急落しました。CrowdStrikeとPalo Alto Networksが7%下落、ZscalerとSentinelOneが8%以上下落、Tenableは11%近く下落しています。Raymond JamesのアナリストAdam Tindle氏は、従来の防御上の優位性の圧縮、攻撃の複雑化と防御コストの増大、セキュリティアーキテクチャと支出の潜在的変化などのリスクを指摘しています。 Stifelのアナリストは「このモデルが究極のハッキングツールとなり、普通のハッカーを国家レベルの敵対者に押し上げる可能性がある」と分析し、「企業はAI攻撃にマシンスピードで対応するために、AI注入セキュリティソリューションの導入を加速する必要がある」と述べています。
AITAKE編集部の見方
Claude Mythosの登場は、AI業界における新たな転換点を示しています。これまでAIモデルの開発競争は性能向上に焦点が当てられていましたが、今回Anthropicが一般公開を見送ったことは、AI企業が責任ある開発・展開により重きを置き始めていることを表しています。 Project Glasswingのような限定的なアクセス体制は、今後の高性能AIモデル展開における新たなスタンダードとなる可能性があります。一方で、このようなモデルが悪意のある行為者の手に渡った場合の脅威は深刻であり、AI開発における倫理的課題がより一層重要になっています。日本企業もサイバーセキュリティ対策の見直しと、AI駆動型攻撃への備えを急ぐ必要があるでしょう。
Source: Fortune